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旅をする木

忙しい毎日を送っている。誰もがみんな忙しい。
定刻に起きて、いつものように朝ごはんを食べ、体が覚えているいつもの順番で用意をして仕事に出かける。
仕事では忙しい時と比較的暇な時もあり、様々なイレギュラーな事があっても仕事の範疇内。
多少のずれはあっても定刻には職場を後にする。

1週間、1ヶ月、半年、1年。
同じペースで日々を送っているとそれは清流と同じで流れがないと淀んでくる。
時々は日常から離れるという事だけで淀んで落ちた気力を取り戻せる。
私にとってそれが京都で過ごす時間なのだけど。

肩こりさんからのメールで星野道夫 「旅をする木」を勧められ読み始めた。
短編のエッセー集だ。


旅をする木


彼の撮ったアラスカの写真はテレビやポスターで誰も1度は目にしたことがあると思う。
彼は愛するアラスカで熊に襲われて命を落とした。


Hoshino2[1]


彼の撮った写真や映像を見ると心のどこかで警戒を即す鐘が鳴る。
この写真を見ても「やばいよ。やばいよ。」と心のどこかで思っているのだ。
私の乏しい旅行の経験からでも、引き込まれそうな圧倒的な自然、
人間社会の喧騒からきっぱりと引き離されたところに悠久の時の流れがあることを確かに知っている。
でもそれに触れて馴染んでしまうと自分の生活に戻れなくなることを予感する。
そんな引力に引き込まれてアラスカに生きた人が著者だ。



ずっと昔のことだけれど、大学受験に失敗して浪人していたとき。
代々木のマンモス予備校に通っていた。
授業の空いた時間に友人3人で代々木公園に行った。
天気の良いすがすがしい日で芝生に寝転ぶと空がきれいだった。
のんびり空を見て過ごしていたら何だかあくせく人と競争して勉強するのがバカらしいことに思えて
予備校の教室に戻って教科書を読んでもすべてが色あせたような気がしたことを思い出す。
その後どうやって気を取り直したか全然覚えていないが、
代々木公園の情景で別の世界に引き込まれそうになったことだけ鮮明な記憶として残っている。

普通の人は誰も今の生活の全てを捨てることは出来ない。
アラスカの圧倒的な自然の魅力に恐れもなく突き進んだ著者は
満点の星空の下や季節の移り変わりの中で人との関わりを暖かく感じて過ごしていた。
厳しい自然の中では生きていること、それだけで奇跡なのだと確信するだろう。
人が作り出した高度な文明社会は命の存在が希薄で不自然なのだ。
でもその社会の中で生きてきてしまった事実はいまさら変えられない。
彼の文章から描かれるアラスカの自然は遠い羨望であり
人に対する暖かさは現代人が忘れ去っている素直な人の情である。


捨てきれない今の生活の中でもせめて人間らしい情の持てる人でありたい。
そんなことを考えながら噛みしめるようにゆっくりとこの本を読んでいるところです。


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2013.06.16 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 読書



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Author:kajika
吾唯足知 (龍安寺のつくばい)
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1年に数回出かけています。

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