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夏の吐息

月の光 ドビュッシー


暑さにほとほと閉口しながら日々を送っていたけど、時は逸れなりに流れ暦は長月。
夜は涼しい風が入って自然な眠りが取れる日もある。
本屋さんでは夏の読書感想文の宿題目当てか、そそられる文庫本が並んでいる。
「この6編を超える作品は、もう書けないかもしれない。」と書いてある帯の言葉に誘われて
『夏の吐息』小池真理子を読み始めた。


夏の吐息



年を重ねるごとに、人の気持ちの中には湿った黴のような感情が増殖し、妬みやそねみ、憤り、苛立ちになって悪臭をまきちらす。
人々は自分がかかわっている現実しかにしか目が向かなくなる。
苦悩も苛立ちも何もかもが、現実の中でのみ、堂々巡りを繰り返すようになっていく。
だが、現実の中に横たわる、生臭い悲しみや苦しみの底にすらも一片の無垢があるのかもしれなかった。
それは時に、雲間から差し込む光を浴びて、弱々しいが透明な輝きを放つ。
追いすがっていきたくなるほど、美しい光である。
そんな淡い光を肉体の内側に感じていられれば、どれほど救われることだろう。
どれほど元気づけられることだろう。

            月の光より


著者は「短編はあくまでも、額縁に囲まれた一枚の絵でなければならない。」という。
短編は語彙が少ないからこそ受け手の想像がかきたてられ、
自分ならではの余韻とふくらみを持たせてくれる。
波長の合う作家を見つけた。

『無数の言葉をはらんだ沈黙』
なんて素敵なフレーズでしょう。
年も性別も生き方も違った人の間に生まれる淡くて貴重な感情を品良く語っている短編集。
マンネリ化した毎日でいつの間にか溜まってしまった垢を落として気持ちのリセットしたくなる。


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2012.09.02 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 読書



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吾唯足知 (龍安寺のつくばい)
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