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多事争論に魅せられた日々

 2010-01-11
ニュース23の放送の最後に筑紫さんが語る多事争論。
何となく毎回のように見ていた。
気骨のあるジャーナリストを目にする事の少なくなった昨今である。
リアルの生活のなかでもそうだが興味の持てる人はなかなか少ない。
特にテレビの中で意見を言う人、論議をする人に同調したり気になる人は少ない。
一つの事件が起こると一斉にどのチャンネルを回しても大同小異同じ方向からしか物を言わない。
まるでその道から反れたら非国民であるかのように押し付けがましさを感じるほどだ。

温和な表情で繰り広げる90秒の多事争論に込めた筑紫さんの情熱は積み重ねた情報と考え抜かれた自分自身の言葉で語られ、押し付けがましさは微塵も感じられない。
むしろ、このことをしっかりと考えるべきで、貴方はどう考えて、どんな意見があるのサ。
と問いかけているように思えたものだ。

筑紫さんが亡くなって1年2ヶ月。
昨年の秋に朝日新聞出版から「筑紫哲也」という冊子が出版された。
多事争論の傑作や色々な人との対談、交わされた手紙や会話、闘病期の日記など。

時々引っ張り出しては同じ所を何度も読んでみる。
懐の広さはビックリする所も多いが、物の見方に驚かされる。
常識という仮面を被った偏見、横並び一線、突起しないでいる妙な安心感。
そんな事でいいのか。現実、物事を自分の頭でしっかり見て考える事が大切なんだ。と言わんばかりに語られる。

知る事の喜び。それを自分の言葉で語る事の楽しさ。
多事争論は大好きなコラムであった。

彼の好きな詩集「倚りかからずに。」 茨木のり子より


    自分の感受性くらい     茨木のり子

    
    ぱさぱさに乾いてゆく心を
    
    ひとのせいににはするな

    みずから水やりを怠っておいて


    気難しくなってきたのを

    友人のせいにはするな
  
    しなやかさを失ったのはどちらなのか

 
    苛立つのを
  
    近親のせいにはするな

    なにもかも下手だったのはわたくし
   

    初心消えかかるのを 

    暮らしのせいにはするな

    そもそもがひよわな志にすぎなかった


    駄目なことの一切を

    時代のせいにはするな

    わずかに光る尊厳の放棄

    
    自分の感受性くらい   

    自分で守れ

    ばかものよ




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