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當麻

奈良・京都 2009.11.01-11.03



彼の人の眠りは、徐かに覚めて行った。まっ黒い夜の中に、更に冷え圧するものの澱んでいるなかに、目のあいて来るのを、覚えたのである。
した、した、した。耳に伝ふやうに来るのは、水の垂れる音か。たヾ凍りつくやうな暗闇の中で、おのづと睫と睫とが離れて来る。


                            「死者の書」  折口信夫 より

この寺に出かけるならこの本を読んでからでないと絶対ダメ。
そんな仙台の師匠のご指導の元、彼女の諳んじるぐらいの愛読書を片手に奈良盆地の西の方角にある、二上山の裾野に広がる當麻の里にある寺に来た。
この当麻寺が今回の旅のメインの一つ。


奈良・京都 2009.11.01-11.03

仁王門から二上山が姿を見せている。
この山に葬られた大津皇子が墓の中で目覚めるところからはじまる「死者の書」。
冤罪で処刑された大津皇子を慕う奈良の貴族の郎女である中将姫が大津皇子のために蓮の糸で織ったという當麻曼荼羅が本尊だ。
飛鳥時代この二上山超えた西側に死者を埋葬する場があり、対する日の出づる東に三輪山がある。
その要に当たるところに位置するのが当麻寺であると五木氏は言っている。

朝早くに東京を出発したがこの地に着いたのは11時近く。
近鉄の当麻寺駅を降り、山に向かって歩く道すがらは、さすがにのんびりしている。
午後からは雨になる予報。曇り空に二上山のシルエットはまだはっきり見える。


奈良・京都 2009.11.01-11.03


中之坊から見上げる東塔。
当麻寺には東塔と西塔の二つの塔がある。奈良時代のこの様式が現存するのは当麻寺だけとのこと。


奈良・京都 2009.11.01-11.03

本堂の曼荼羅堂。
中には国宝の須弥壇の上に本尊の曼荼羅図がある。
前には金網が張られはっきりは見えないが、4m×4mの綴織りという表裏が同じ模様になるよう織られている浄土の図である。
奥院で聞いた絵解きによると「一蓮托生」とは極楽浄土に往生して皆が同じ蓮の花の上で生まれ変わることであると。
絵の中ほどの池の中では丸々太った童子が蓮の葉の上に乗ったり降りたりと楽しそうに遊んでいる。
この童子がこの世に別れを告げ極楽浄土にたどり着いて、生まれ変わったばかりの人達なのだろうか。

曼荼羅の右手奥には中将姫の像がある。
白い袈裟をまとって合掌しているそのお顔の半開きになった口元には何ともいえない女の情念を感じる。
女人禁制の結界を破り当麻寺に入ったとか、称讃浄土経一千巻を写したとか、並々ならぬ強い意志の持ち主だ。
悟りを開いたというよりも人間臭い、なまめかしさすら感じる表情だと思う。




奈良・京都 2009.11.01-11.03


奥院の阿弥陀堂ではどなたかの納骨の儀式が行なわれているようでお経が流れてくる。
奥の庭で珍しくもこの時期に咲く「十月サクラ」を見ることができた。
サクラの向こうにはほんのり秋色に色づいてきた木があり、何とも不思議な光景である。

時間をかけて当麻寺を散策して出る頃にはチラチラと小ぶりだった雨も本格的に降り出した。
当麻寺の駅に着く頃には雨の音だけが耳に入る田舎の光景となった。
すでに二上山は雨に煙って姿を隠してしまった。


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2009.11.07 | | コメント(4) | トラックバック(0) | 奈良



コメント

おかえりなさぁ~♪
早く出て11時着とは...とっても山深いところにあるんですねぇ。
でも 早めに出たおかげで 二上山が見られたんですもんねぇ♪
秋さくら 初めて見ましたぁ~♪
赤く染まった葉っぱとの共演 確かにちょっと不思議な感じがしますね^^

2009/11/08 (日) 08:56:36 | URL | はにぃ〜♪ #gfAHeF2. [ 編集 ]

やっと疲れが取れてきた感じがします。
当麻寺はなんとものどかな地でした。
見知らぬ地で優しい雨に当たりながら小さな驚きの数々。
旅は良いものです。

2009/11/08 (日) 14:11:12 | URL | 花鹿 #- [ 編集 ]

當麻・・・

う~ん・・・
久々に聞きました。大学時代ちょこっと付き合った彼の地元。
懐かしいなあ。
彼と付き合うまで、當麻を「たいま」と読むことすら知らなかった。「死者の書」は本棚にあるものの、積読で読んでおらず。・・・読んでみます。

2009/11/08 (日) 22:52:19 | URL | シドルド #- [ 編集 ]

談山神社と当麻寺を迷っていたら速攻、「當麻でしょ。」と断言されました。
奈良はそれぞれが離れていて遠いのでいくつも回れない代わりにじっくり、ゆっくりできる感じです。
それがいい。
人がいてもごみごみ感じられない。
次は奈良も回ってみては?

2009/11/09 (月) 07:37:12 | URL | 花鹿 #- [ 編集 ]

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Author:kajika
吾唯足知 (龍安寺のつくばい)
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