「斜陽」を読む

朝日新聞の企画で百年読書会という欄がある。
1ヶ月1冊の本に対して感想文を募集し論評する。
4月は太宰治の「斜陽」。
ということで私も斜陽を初めて読んだ。
この本から斜陽族という言葉が流行した事は知っていた。
没落貴族の話というので何となく敬遠していた事は確かだが、今回は良いきっかけだと思った。

戦争とはこれ程価値観を変えてしまうものなのだと改めて痛感する。
生活や金銭の何かすら知らないで良かった華族や貴族の没落。
落ちて行くのをあがらう努力すらせず奈落の底に落ちる自分を冷静に見ている異常さ。
人の話を聞いている時、時々その人の負のスパイラルに引き込まれそうになることがある。
この小説はその時の感じに似ている。

母親が結核で亡くなった後、庶民の逞しい生活力を身に付けたかったのに自分を変えられずに死を選んだ純粋な直治。
典型的な華族のお嬢様なのに恋に目覚めて親兄弟の死後にシングルマザーの道を選んで生き抜こうとするかず子。
時代背景からして理解したり共感する事は難しいが、時代の事情に翻弄されながら自分の道徳観と意思の狭間で苦悩して生きている事は判る。
すなわちそれは、何度も自殺を繰り返し最期には多摩川上水に身を投げて亡くなった作者の苦悩の人生を投影しているのかもしれないと思った。

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2009.05.06 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 読書



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